眼科診療

眼科診療について

当院では、眼科での設備を導入して、眼科治療に力を入れています。
眼科での手術は、手術用顕微鏡・専門の設備・器具などを使用する特殊性の高い手術となります。術前には、飼い主との十分な話し合い、インフォームドコンセントでの同意の上、手術を決定していくことがたいせつであると考えています。

当院のおもな設備の紹介

トノペン眼圧測定器
角膜の病変、前房の病変、水晶体の病変の診断をします。
手持式細隙灯生体顕微鏡
(スリットランプ)
眼圧を測定し緑内障の診断を行っています。
当院の猫でのスリットランプ検査
(正常)
手術用顕微鏡
白内障、緑内障、角膜潰瘍などの眼科手術で使用します。
網膜電位図検査(ERG)
先天的な眼底異常、網膜機能、白内障術前検査などで使用します。沈静麻酔下での検査となります。
白内障超音波乳化吸引装置
白内障手術で水晶体を吸引する専門の設備です。
 

白内障

眼の水晶体が一部もしくは全部白濁した状態です。
ひどくなると失明します。発生のメカニズムについてはわかっていませんが、病因別に分類されています。
若年性白内障
  • 生後0.5才~2.5才
  • 遺伝的要因といわれていますが、そうではないものもある。
老年性白内障
  • 生後5才~
  • 老化現象の一つである。6ヶ月間で水晶体の濁りがひどくなる。
先天性白内障
  • 生前発生
  • 胎児期に眼球が形成される段階で水晶体が濁ったまま生まれる。
急性白内障
  • 糖尿病など他の病気から発生する、代謝性白内障。
  • 眼球の損傷が原因で発生する外傷性白内障
老年性白内障は、早期発見・早期治療が重要です!
犬の白内障では、遺伝性要因の白内障は、トイプードル・コッカースパニエル・チワワ・柴犬が多く報告されています。最近では、トイプードルの若年性白内障が問題になっています。

進行度分類

  1. 初発白内障
  2. 未熟白内障
  3. 成熟白内障
  4. 過熱白内障
  1. 視力障害は少ない
  2. 視力障害あり、進行すれば失明の可能性あり
    外科療法が必要です

飼い主さんに注意してほしい眼の症状

  • 眼が白くなった
  • 食事中、歩行時に眼が見えない動作、物へぶつかる
  • 犬の白内障は、初期症状が分かりにくいので、6ヶ月位で定期検診をおすすめします。

中央動物病院での白内障の外科治療の流れ

全身麻酔下での手術が安全に行えるために全身の把握をします。
  • 問診(現病歴・過去病歴・薬投与歴など)
  • 眼検査
  • その他(血液検査・心電図・エコー検査)
  • 眼圧検査
  • ERC検査
    (網膜機能)
  • スリット検査
    (角膜と水晶体の断面)
  • 手術に対する説明を行い
    同意をいただく

中央動物病院 手術の流れ

手術用顕微鏡

角膜切開
前のう切開
 (水晶体を包むカプセルの前面)
水晶体の超音波乳化吸引
  白内障手術の動画はこちら
眼内レンズ挿入
角膜縫合
  • 全身麻酔にて行い、通常60分間程の手術です。
  • 通常当院(中央動物病院)では、OPe前2日とOpe後3日間の入院が必要です。
  • 170,000~180,000円程度

手術後1週間

内服
抗生物質・ステロイド、消炎鎮痛剤と消化性潰瘍の治療薬
点眼
抗生物質・ステロイド、眼科の診察を行う
   

手術後2週間

   

手術後3週間で角膜縫合部を麻酔下にて抜糸する

手術を終えての飼い主様の声

« 手術への不安について »

  • 手術の手術は、実際の動画を用いており、手技もみられて安心しました。
  • 自分のワンちゃんの手術中の様子を見せてもらえて安心しました。
  • 入院中も毎日会うことができてスキンシップがとれました。
  • 先生もスタッフさんも飼い主と同じ立場に立ち病気に向き合って下さり嬉しかった。
  • 他の病院にも相談しましたが、料金も安く、手術することに決めました。
  • 保険適応はとても助かりました。

« 手術後のワンちゃんの様子 »

  • とにかく嬉しそう。
  • 視線を合わせて話に注目する。
  • たくさん歩き、物にぶつからなくなった。
  • 表情がとても良くなった。
  • 物怖じしなくなった。

眼の主な病気

緑内障

眼球内の圧力が危険なほど高くなる病気です。犬や猫が盲目になる一番の原因といわれています。 治療では、眼圧を下げる点滴、内服治療など行われますが、眼圧が極端に高い場合、緊急手術が必要な場合もあります。

角膜潰瘍

眼球の前面にある透明な層(1mm満たない)が、障害を生じたために角膜が炎症を起こすことです。程度は擦った程度の浅いものから、角膜すべての層を突き破るほど深いものまでさまざまです。潰瘍の深さが深いものでは手術が必要となります。 角膜潰瘍
緑に染まっている部分が潰瘍部位
(フローレス試験)

ブドウ膜炎

ブドウ膜炎は虹彩、毛様体および脈絡膜におこる炎症。原因として、炎症・感染・アレルギー・外傷などがあります。治療の経過が長くなることもしばしばあります。

ドライアイ

涙の分泌が少なくなることにより、乾き目が発生します。眼の前面(角膜)が乾燥して痛みを覚えるようになります。酷い場合は、視力を失うこともあります。
現在では、専門の点眼薬(シクロスポリス)で治療されます。
ドライアイ
ドライアイのコッカースパニエル
粘張性の強い目ヤニを認める

瞬膜腺突出(チェリーアイ)

第3目瞼(瞬膜)は、左右の眼の鼻に近いほうの瞼と眼球の間にあります。瞬膜は、眼を保護するとともに、涙をためたり、角膜の上に涙をひろげる働きをします。又、瞬膜には涙を分泌する腺もあるので、眼全体の潤滑を良くする働きもあります。
瞬膜腺は、瞬膜の内部にあるのが普通ですが、時にはこの線が瞬膜の端から飛び出してくることがあります。その結果、飛び出した組織が炎症を起こし、ペットに痛みや不快感を与えます。赤く腫れ上がった組織が「さくらんぼ」に良く似ていることより、この病気は「チェリーアイ」と呼ばれたりもします。
治療では、内服・点眼治療など行われますが、症状が改善しない場合、飛び出している瞬膜・組織が大きい場合、手術が必要になります。
瞬膜腺突出(チェリーアイ)
瞬膜腺が突出している状態の犬

Q&A

1歳5ヶ月のコッカースパニエルです。眼が以前より充血しており、ブドウ膜炎から白内障を併発してしまいました。現在炎症をおさえる薬を内服しているのですが、手術療法しか視力回復の見込みはないと思うので、手術してほしいのですが。。。

コッカースパニエルは若年性白内障が非常に多い犬種類です。
しかし白内障の術後、合併症が多いのでも有名です。
手術希望なら、術前に入念な検査が必要でしょう。

犬の白内障の術後合併症には何があげられますか?簡単に教えてください。

犬の白内障の術後合併症で一番多いのが、眼内炎症(フレア、フィブリン)です。この炎症は術後3日くらいは程度の差あれほとんど発生します。この炎症が1週間以上強く続くなら予後不良と判断しています。
次が眼圧上昇。術後2日間くらいは点眼、内服でほとんどおさまりますが、もし5日間以上高眼圧続くなら予後不良、縁内症の治療が必要でしょう。他、虹彩癒着、後発白内障(少しの白濁はほとんど発生)、レンズ脱落などが合併症であげられます。
また、術中の合併症で問題となるのが、後嚢破損でこれは硝子体脱出するもので、眼内レンズ挿入断念する場合もあります。

猫の緑内障について教えてください。我が家の猫の眼が、ガラス球のようになり驚いて近くの獣医さんのところにつれていって約1ヶ月になります。眼底出血をしていて緑内障だと診断を受けました。2本の注射と2種類の内服薬と2種類の目薬をしています。まだ眼は見えていないようです。このまま眼が見えなくなるのでしょうか。なにか有効な治療法はないのでしょうか。教えてください

残念ながら視力に関しては回復は難しいでしょう。
今後注意してほしいのは、緑内障は末期に症状として眼圧が急激に高くなり、眼球自体が大きくなることがあります。この場合、眼を痛がる、元気がなくなるなどの症状がでてくることがあります。このときの手術としては眼球摘出、義眼挿入などの手術がおこなわれます。もし、眼が大きくなっている様子があったり、眼を極端に痛がる場合、なるべくはやく当院、または獣医さんに診察してもらってください。