角膜潰瘍は犬猫において日常的にみられる眼疾患のひとつである。
角膜潰瘍が治癒せず進行すると深層化し、せん孔して眼内炎にいたり失明するリスクもはらんでいる。 融解性角膜潰瘍は角膜実質が進行性にゲル状、液状変化をおこし融解する病態である。角膜融解が持続すると早期に角膜せん孔にいたり、さらには眼内炎から失明にまでおよぶリスクが著しく高くなる。また、シーズー、フレンチ、パグなどの短頭種は角膜の露出の多さ、不完全な瞬目により角膜潰瘍が悪化するケースがおおい。
犬の融解性角膜潰瘍は糖尿病などの基礎疾患、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患をもつ動物で角膜潰瘍の治癒遅延が怒りやすいと考えられている。
犬の融解性角膜潰瘍は早期に角膜せん孔し、眼球の喪失にいたるリスクが高い緊急性の高い疾患であり、迅速な対応が必要となる。角膜潰瘍が治りが遅い場合(1週間たっても好転しないなど)眼の状態をよく注意して治療を選択するようにしてください。
中央動物病院 藤原